MBOは、management buy-outを省略化した言葉です。
management buy-outとは、オーナーではない経営者が、事業の継続を前提として、オーナーや親会社から株式を買取り、経営権を取得するということです。特に、従業員が事業の継続を前提として、オーナーや親会社から株式を買取ることを、employee buy-out(EBO)といいます。

オーナーでない経営者や従業員が企業や事業を買収する場合、買収資金を持ち合わせていない場合が多く、買収資金がない場合には金融機関や投資ファンドから買収資金を調達することになります。そして、金融機関や投資ファンドから資金を調達する際には、買収する企業や事業の資産やキャッシュフローに担保権が設定されるため、leveraged buy-out(LBO)の側面も有することになります。

MBO(LBO)は、オーナー経営者から、他の経営者や従業員などの会社幹部に事業を承継する手法であるため、オーナー経営者は創業利益を確保した上で事業を承継することができ、非中核部門の承継をする場合には承継により得た対価を中核部門に投入することで中核部門の強化や立直しを行うことができます。

また、上場企業の場合であればMBOにより上場廃止になりますので、短期的な市場の声に惑わされることなく、中長期的な経営戦略を保てるなど経営の自由度を高めることができます。そして、金融商品取引法のディスクロージャー規定による情報開示を行う必要がないため、企業戦略が外部の者に知られることなく、機動的な経営を行うことができます。さらに、上場を廃止することで、市場で買収を仕掛けられるというリスクがなくなります。

他方、一般株主が多い場合には株主との利害調整が必要になり手続が煩雑である上、上場会社の場合には、株式公開買付けの価格が意図的に低く抑えられる傾向にあり、株主に不利益が発生する可能性があります。
また、MBO(EBO)が成功したとしても、業績が大幅に悪化した場合には、債務の返済が非常に厳しくなるというリスクがあり、資金を貸与した金融機関や投資ファンドが経営に意見を差挟んできたり、経営者の交代を求めてくる可能性もあります。

MBO(EBO)は、経営者(従業員)が株主から株式を取得することであるから、対象となる企業が単独株主である場合には当該株主と株式譲渡について交渉することになり、複数株主である場合には複数の株主と株式譲渡について交渉することになります。

複数の株主が存在する場合には、原則として個々の株主と個別交渉を行い、株式取得にあたり支払う対価についても当該株主ごとに異なることになります。しかし、経営者(従業員)がMBO(EBO)を行うとき、通常であれば株式の100%取得を目指すことになり、100%の株式が取得できないのであれば、そもそもMBO(EBO)を行わないという場合も存在します。ところが、複数の株主に対し、順番に交渉していきますと、交渉に長けた株主などは、最後の最後まで株式を譲渡せず、最後に不当に高額な対価を要求してくることがあります。

また、最初に譲渡すること避けたいという株主がいると、両すくみ状態になり株式買取交渉が全く進展しないという事態に陥ることもあります。また、株式の大半を取得したにもかかわらず残余の株式を取得することができず、経営に株主意向が強く反映されてしまうという不都合が生じる可能性がありますし、原則として株式取得を撤回することができない、撤回できても支払った対価が返還されないという不都合が生じる可能性もあります。

以上の不都合を回避するため、複数の株主と個別に交渉するのではなく、全株主を一同に集めて意向を確認し、株式取得条件を統一して交渉するという手法を採用すべきです。

また、対象となる企業が上場会社である場合には、金融商品取引法により一定割合の株式を取得する際には公開買付け(TOB)により株式を取得する必要があります。
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MBO(EBO)を行うにあたっては、対象となる企業を買収する資金を用意する必要があります。MBO(EBO)の対象となる企業の価値が高額であれば多額の買収資金が必要になり、これを自身で準備することは非常に困難です。そこで、買収資金を準備するにあたりプライベートエクイティファンド(PEファンド)が利用されます。また、経営陣(従業員)がMBO(EBO)を成功させるためには、大株主が証券会社等と組んでオークション方式により対象となる企業を売却することに着手する前に、PEファンドと組み主体的にMBO(EBO)を行っていく必要があります。

そして、経営陣(従業員)において、5年程度の事業計画、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書を作成します。なお、これらの資料は、経営者(従業員)が買収価格の目安とするものですので、各数値については合理的な根拠が必要になります。

これらの資料の精度を高めるのであれば、この時点で財務・法務のデューデリジェンスを実施する必要があります。ただし、経営陣(従業員)が買主であるため、当該企業の内容を詳細に把握していることが前提となるので、第三者が買主となるM&Aのようにこの時点でのデューデリジェンスは必須とはいえません。ただし、経営陣(従業員)においても把握できていない財務・法務リスクが存在することがしばしば見受けられるところですので、この時点でデューデリジェンスを実施することが無難であると言えます。

次に、経営陣(従業員)と売主との交渉が開始され、基本合意書が締結されます。なお、基本合意書締結前にデューデリジェンスを実施していない場合には、この時点でデューデリジェンスを実施して必要となる資金を高い精度で確定する必要があります。
そして、キャピタルストラクチャリングを行います。ここでは、経営陣(従業員)において準備することができる資金、PEファンドにおいて用立てる資金、金融機関から受ける融資額等を確定します。

その後、各種契約を締結し、MBO(EBO)を実行することになります。

MBOとは

1_mbolbo.jpg MBOは,management buy-out省略化した言葉です。 management buy-outとは,オーナーではない経営者が,事業の継続を前提として,オーナーや親会社から株式を買取り,経営権を取得するということです。 特に,従業員が事業の継続を前提として,オーナーや親会社から株式を買取ることを,employee buy-out(EBO)といいます。

オーナーでない経営者や従業員が企業や事業を買収する場合,買収資金を持ち合わせていない場合が多く,買収資金がない場合には金融機関や投資ファンドから買収資金を調達することになります。
そして,金融機関や投資ファンドから資金を調達する際には,買収する企業や事業の資産やキャッシュフローに担保権が設定されるため,leveraged buy-out(LBO)の側面も有することになります。

MBO(LBO)は,オーナー経営者から,他の経営者や従業員などの会社幹部に事業を承継する手法であるため,オーナー経営者は創業利益を確保した上で事業を承継することができ,非中核部門の承継をする場合には承継により得た対価を中核部門に投入することで中核部門の強化や立直しを行うことができます。

また,上場企業の場合であればMBOにより上場廃止になりますので,短期的な市場の声に惑わされることなく,中長期的な経営戦略を保てるなど経営の自由度を高めることができます。
そして,金融商品取引法のディスクロージャー規定による情報開示を行う必要がないため,企業戦略が外部の者に知られることなく,機動的な経営を行うことができます。
さらに,上場を廃止することで,市場で買収を仕掛けられるというリスクがなくなります。

他方,一般株主が多い場合には株主との利害調整が必要になり手続が煩雑である上,上場会社の場合には,株式公開買付けの価格が意図的に低く抑えられる傾向にあり,株主に不利益が発生する可能性があります。

また,MBO(EBO)が成功したとしても,業績が大幅に悪化した場合には,債務の返済が非常に厳しくなるというリスクがあり,資金を貸与した金融機関や投資ファンドが経営に意見を差挟んできたり,経営者の交代を求めてくる可能性もあります。

MBO(EBO)の手法

MBO(EBO)は,経営者(従業員)が株主から株式を取得することであるから,対象となる企業が単独株主である場合には当該株主と株式譲渡について交渉することになり,複数株主である場合には複数の株主と株式譲渡について交渉することになります。

複数の株主が存在する場合には,原則として個々の株主と個別交渉を行い,株式取得にあたり支払う対価についても当該株主ごとに異なることになります。
しかし,経営者(従業員)がMBO(EBO)を行うとき,通常であれば株式の100%取得を目指すことになり,100%の株式が取得できないのであれば,そもそもMBO(EBO)を行わないという場合も存在します。

ところが,複数の株主に対し,順番に交渉していきますと,交渉に長けた株主などは,最後の最後まで株式を譲渡せず,最後に不当に高額な対価を要求してくることがあります。
また,最初に譲渡すること避けたいという株主がいると,両すくみ状態になり株式買取交渉が全く進展しないという事態に陥ることもあります。
さらに,株式の大半を取得したにもかかわらず残余の株式を取得することができず,経営に株主意向が強く反映されてしまうという不都合が生じる可能性がありますし,原則として株式取得を撤回することができない,撤回できても支払った対価が返還されないという不都合が生じる可能性もあります。

以上の不都合を回避するため,複数の株主と個別に交渉するのではなく,全株主を一同に集めて意向を確認し,株式取得条件を統一して交渉するという手法を採用すべきです。
また,対象となる企業が上場会社である場合には,金融商品取引法により一定割合の株式を取得する際には公開買付け(TOB)により株式を取得する必要があります。

MBO(EBO)の手順

MBO(EBO)を行うにあたっては,対象となる企業を買収する資金を用意する必要があります。 MBO(EBO)の対象となる企業の価値が高額であれば多額の買収資金が必要になり,これを自身で準備することは非常に困難です。そこで,買収資金を準備するにあたりプライベートエクイティファンド(PEファンド)が利用されます。

また,経営陣(従業員)がMBO(EBO)を成功させるためには,大株主が証券会社等と組んでオークション方式により対象となる企業を売却することに着手する前に,PEファンドと組み主体的にMBO(EBO)を行っていく必要があります。

そして,経営陣(従業員)において,5年程度の事業計画,貸借対照表,損益計算書,キャッシュフロー計算書を作成します。
なお,これらの資料は,経営者(従業員)が買収価格の目安とするものですので,各数値については合理的な根拠が必要になります。これらの資料の精度を高めるのであれば,この時点で財務・法務のデューデリジェンスを実施する必要があります。

ただし,経営陣(従業員)が買主であるため,当該企業の内容を詳細に把握していることが前提となるので,第三者が買主となるM&Aのようにこの時点でのデューデリジェンスは必須とはいえません。
経営陣(従業員)においても把握できていない財務・法務リスクが存在することがしばしば見受けられるところですので,この時点でデューデリジェンスを実施することが無難であると言えます。

次に,経営陣(従業員)と売主との交渉が開始され,基本合意書が締結されます。
なお,基本合意書締結前にデューデリジェンスを実施していない場合には,この時点でデューデリジェンスを実施して必要となる資金を高い精度で確定する必要があります。

そして,キャピタルストラクチャリングを行います。ここでは,経営陣(従業員)において準備することができる資金,PEファンドにおいて用立てる資金,金融機関から受ける融資額等を確定します。

その後,各種契約を締結し,MBO(EBO)を実行することになります。

公開買付け(TOB)とは

公開買付け(TOB)とは,不特定かつ多数の者に対し,公告により株券等の買付け等の申込み又は売付けの申込みの勧誘を行い,取引所金融商品市場外で株券等の買付け等を行うことをいいます。

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公開買付け(TOB)の定義は,金融商品取引法27条の2第6項に規定されています。

多数の者からの買付け等

多数の者からの買付け等の場合には,公開買付けを行う必要があります。 ここで,公開買付けによらなければならない場合とは以下の買付けをいいます。
  • 取引所金融商品市場外における買付け等であること
  • 著しく少数の者からの買付け等(特定買付け等)でないこと
  • 買付け等の後の株券等所有割合が5%を超えること
以上の要件を満たす場合,金商品取引法27条の2第1項1号により公開買付け義務づけられています。

取引所金融商品市場外というのは,取引所金融市場だけでなく,店頭売買有価証券市場も含まれます。

著しく少数の者とは,当該株券等の買付けを行う相手方の人数と当該買付け等を行う日前60日間に取引所金融商品市場外において行った当該株券等発行者の発行する株券等の買付等の相手方の人数との合計が10名以下の場合(特定買付け等)をいいます(施行令6条の2第3項)。

なお,ここでの人数には,公開買付けによって取得した場合の相手方の人数,店頭売買有価証券市場で取得した相手方の人数,新株予約権の行使によって取得した場合の相手方の人数は除かれます(施行令6条の2第3項)。
また,株式割当てを受ける権利による場合,売出しに応じて買付ける場合,取得請求権又は取得条項の行使による場合,従業員持株会による場合等の相手方の人数も除かれます(施行令6条の2第1項1?3号,10?15号)。


3分の1ルール

少数の者から株式の所有割合が3分の1を超える株式を取得する場合,いわゆる「3分の1ルール」とは,以下の買付けのことをいいます(金商品取引法27条の2第1項2号)。
  • 取引所金融商品市場外における株券等の買付け等であること
  • 著しく少数の者からの買付であること
  • 買付け等の後における株券等の所有割合が3分の1を超えること
著しく少数の者から相対で取得する場合にも,株券等所有割合が3分の1を超えると,特別決議事項に関して拒否権を取得し一定の支配力を取得することになります。 そこで,著しく少数の者であっても株券等所有割合が3分の1を超える買付けについて公開買付けによらなければならないとされました。

特定売買等による3分の1ルール

特定売買等により株式の所有割合が3分の1を超える株式を取得する場合,いわゆる「特定売買等による3分の1ルール」とは,以下の買付けのことをいいます(金商品取引法27条の2第1項3号)。
  • 特定売買によること
  • 買付け等の後における株券等所有割合が3分の1を超えること
特定売買等とは,ToSTNeT(トストネット)取引のことです。 ToSTNeT取引とは,東京証券取引所の市場のうち立会市場以外の市場のことで,電子取引ネットワークシステムであるToSTNeT(Tokyo Stock exchange Trading Network system)を通じて行われる立会外取引のことでToSTNeT1から3までの3種類の取引があります。

ToSTNeTによる取引は市場取引所市場内取引ですが,ToSTNeTを利用して「3分の1ルール」を潜脱したライブドア事件を契機に,公開買付制度による規制が及ぶことになりました。
なお,「特定売買等による3分の1ルール」においては,「著しく少数の者」という要件が設けられていないため,取引の相手が10名以上の場合にも適用があるので注意が必要です。

急速な買付け

以下の要件にあてはまる「急速な買付け」については,公開買付けによらなければなりません(金商品取引法27条の2第1項4号)。 3ヶ月以内に
  • 株券等の総数の10%を超える株券等を
  • 買付け等又は新規発行取得により取得する場合であって
  • 買付け等による場合にあっては,株券等の総数の5%を超える株券等の買付け等を特定売買等又は相対取引(取引所金融商品市場外でかつ公開買付けでないもの)で行う場合であり,
  • 当該買付け等又は新規発行取得の後における株券等所有割合が3分の1を超えること
相対取引により33%の株式を取得しておき,直後に市場取引により1%を買付けることにより「3分の1ルール」を潜脱することができます。 そこで,上記のような「急速な買付け」に公開買付制度を適用することで,「3分の1ルール」の潜脱を防止しようというものです。

「急速な買付け」は,合算3分の1になる取引を規制の対象とするところ,公開買付期間の上限である3ヶ月という期間が設定されています。
つまり,この規制は,3ヶ月間の一連の取引を合算した規制です。
ですから,3ヶ月間の一連の取引を合算した場合に先の要件があてはまる場合には,3ヶ月間の買付け等の全てを公開買付けによらなければならなくなります。

3ヶ月の期間中に買付けあるいは株券等の新規発行取得により,株券等の総数の10%を超える株券等を取得する場合に適用されます。
仮に10%以下の買付けにより3分の1を超えるというのであれば,既に23%以上の株券等を保有していたことになり,大量保有報告書等による開示がなされているはずであり,特定の者による買集めが公表されているため,不意打ち的に支配権が取得される心配はありません。
そこで,10%を超える取得する場合に公開買付けによるべきであるとされました。

「急速な買付け」というためには,5%を超える株券等の買付け等を相対取引又は特定売買等によって行うことが要件とされています。
ですから,相対取引又は特定売買等による取得を5%以下に留め,それ以外については立会内取引または公開買付けによる取得を行う場合には,公開買付けの必要はありません。

過去3ヶ月間で合計10%を超える株券等を取得し,立会外取引により5%を超える株券等を取得している場合に,立会内取引により3分の1を超えて株券を取得してしまった場合には,結果的には,全ての買付けについて公開買付けを行う必要があったということになりますので注意が必要です。

合併等の組織再編において,消滅会社の株主が,組織再編行為の前に5%を超える株式を相対取引で買付けしており,当該組織再編行為により存続会社の10%を超える株式を取得することになり,当該株主が存続会社の3分の1を超える株式を保有することになる場合には,組織再編を取りやめるか,当該株主が10%要件あるいは3分の1要件を満たさないようにしなければなりません。

なお,5%要件及び10%要件については,3ヶ月の期間中に株券等を売却・処分された場合には,減少分については差し引いて計算されることになります。

また,A社(存続会社)とB社(消滅会社)が合併する場合において,B社が保有していたC社株式を取得し,その結果A社がC社の株式を3分の1を超えて保有することになる場合,当該合併前3ヶ月以内にA社が相対取引によりC社株を取得しており,当該合併による取得が10%を超える場合には,公開買付規制が及ぶ可能性があります。

よって,合併においては,上場会社の株式を3分の1以上保有することにならないか否か,3分の1を超えて保有することになる場合には過去3ヶ月間の取引の状況を確認しなければならないことになります。

対抗買付

支配権の争奪となる場合の対抗買付けについては,以下の要件をみたす場合には公開買付けによらなければならないとされています(金商品取引法27条の2第1項5号)。
  • 当該株券等について公開買付けが行われていること
  • 発行者以外の者で,株券等所有割合が3分の1を超えている者が
  • 当初の公開買付期間内に
  • 株券等の総数の5%を超える割合の株券等の買付け等を行う場合
公開買付けが行われている場合に,対抗して支配権を取得しようとする者が市場で買付けを行った場合,公開買付けを行っている者が買付義務を負い,買付条件を開示しているにもかかわらず,対抗者はいつでも買付けを止めることができますし,いくらで何株を取得するのかも全く不明で,公開買付けをする者と対抗者との間で公平性を欠くことになります。

また,投資者としても,対抗者がいくらで何株を取得するのか不明であるため,市場で売り急いでしまう傾向にあり,十分に考慮することができない可能性があります。

そこで,会社の支配権の争奪となる場面において,買付者間の公平を図り,投資者が十分な情報の下で株式を譲渡すべきか否かを判断することができるように公開買付けを義務づけたのです。
ただし,過剰な規制とならないように,公開買付けを義務づけられるのは,既に3分の1以上を保有する株主による対抗買付け等に限定されています。
なお,3分の1以上の判断は,特別関係者(親族関係,株式保有関係等がある者)の保有分を合計して判断されます。

3分の1未満の株式を保有している者が対抗買付けを行った場合の5%超の判断は,3分の1を保有することとなった以降の取引について判断されます。

公開買付けを要するのは,当初の公開買付期間内に行われる対抗買いですので,公開買付け行っている者,あるいは対象会社の要請により,公開買付けの期間が延長された場合,延長期間内に行われる対抗買いは公開買付けよる必要がありません。

公開買付けの方法

公開買付けは,以下の事項を開示して行われます。
  • 公開買付期間
  • 買付け等の価格
  • 買付け予定の株券等の数
公開買付けを行った場合には,公開買付けとは別に買付け行ってはいけません(別途買付けの禁止・金商品取引法27条の5)。
公開買付期間
公開買付けを行う期間は,公開買付開始公告を行った日から起算して20営業日以上60営業日以内となっています(金商品取引法27条の2第2項・施行令8条)。 なお,公開買付者の定めた買付け等の期間が30営業日を下回るとき,発行者は,それを30営業日まで期間を延長することができます(金商品取引法27条の10第2項2号)。

公開買付者は,自身が設定した公開付期間について,60営業日の範囲で延長することができます。なお,公開買付期間を短縮することはできません。
また,対抗公開買付けが行われた場合には,その公開買付期間の末日まで,60営業日を超えて買付け等の期間を延長することができます。

公開買付者が重要な事項変更や買付け等の期間以外の買付け条件の変更,記載された内容と事実の相違,必要な事実の缺欠又は不十分,記載事項の対間,記載すべき重要な事項の発生等(金商品取引法27条の8第1項ないし4項)により訂正届出書を提出したとき,訂正届出書の提出日から最低10営業日の買付期間を確保する期間延長を行う必要があります(金商品取引法27条の8第8項)。

なお,訂正にともなう期間延長については,60営業日を超えて延長することができ,訂正届出書提出日から最低10営業日を確保しなければなりません(施行令13条2項2号イ)。
<買付け等の価格/h5>
公開買付け等の価格は,応募者の公平を図るため均一でなければなりません(金商品取引法27条の2第3項)。
また,公開買付け等の価格を変更をしたときは,全ての応募者との関係で同一の変更を行わなければなりません。

公開買付け等の価格は,原則として減額することはできません(金商品取引法27条の6第1項1号)。また,対価は金銭以外にも有価証券その他金銭以外のものでよいのですか,予め定めた対価の種類を変更することはできません(金商品取引法27条の6第1項4号・施行令13条2項3号)。

特定の者から買付けを行う場合に,3分の1ルールとの関係でやむなく公開買付けを行うことがあり,かかる場合に他の株主からの応募を防ぐため市場価格より低い価格で公開買付けが行われることがあります。
しかし,公開買付けを成立する意図がなく,市場価格とはかけ離れた価格で公開買付けを行った場合株価操縦(金融商品取引法159条)と認定される可能性がありますので注意が必要です。

買付け予定の株券等の数
公開買付けを行う場合,買付予定の株券等の数を定める必要があります(金商品取引法27条の3第1項・3項)。そして,公開買付者は,応募数が買付予定の数に達しない場合には応募の株券等の全部を買付けしないことができます(金商品取引法27条の13第4項1号)。 なお,買付け下減数を定めた場合には,対抗買付けが行われている場合を除き(施行令13条2項1号),引上げることはできません。

応募数が予定数を超えるときは,その超える部分の全部または一部を買付けないことを条件として定めることができます(金商品取引法27条の13第4項2号)。
なお,上限を超える応募があれば,応募者の株券等を按分比例で取得することになります。
ただし,公開買付けの後における公開買付者の所有割合が3分の2以上となる場合には,全部の買付けを行う必要があります(金商品取引法27条の13第4項・施行令14条の2の2)。
また,全部買付義務が発生する場合には,他の種類の株券等があれば,それについても全部買付け等を行わなければなりません。

買付け予定株券等の上限,下限を定めなければ応募のあった全ての株券等を買付けなければならなくなります。

対象会社の対応

意見表明義務
対象会社は,公開買付けが行われた場合,公開買付開始公告から10営業日以内に意見表明報告書を提出しなければなりません。

経営陣において公開買付けに反対の意見表明がなされた場合,株主等が公開買付けに応募するか否かによって買収の成否が決定されます。

経営陣は,公開買付けより優れた経営計画を提示することができた場合には,公開買付者による公開買付けは失敗に終わり,これができなかった場合には公開買付者による買収が成功することになります。 つまり,意見表明報告書を提出することにより,経営陣による経営と公開買付者による経営とのいずれが企業価値向上に適しているか株主等が判断することができるのです。
質問権
対象会社は,意見表明報告書において,公開買付者に対する質問を記載することができます(金商品取引法27条の10第1項1号)。 なお,対象会社が意見表明報告書を提出したときは,直ちにその写しを公開買付者及び金融商品取引所に送付しなければなりません。 公開買付者は,意見表明報告書の写しの送付を受けた場合,送付を受けた日から5営業日以内に質問に対する回答等を記載した対質問回答報告書を提出しなければなりません。 なお,公開買付者が対質問回答報告書を提出したときは,直ちにその写しを対象買会社及び金融商品取引所に送付しなければなりません。 また,公開買付者は,当該質問に対して回答する必要がないと認めた場合には,その理由を記載して回答をしないことができます(金商品取引法27条の10第11項)。
公開買付期間延長請求権
対象会社は,公開買付期間が30営業日より短い場合には,意見表明報告書において,買付期間を30営業日に延長することを請求することができます(金商品取引法27条の10第2項2号)。 なお,対象会社は,期間延長請求を行った場合,意見表明義務の期間の末日の翌日までに期間延長公告をしなければなりません。

対象会社により期間延長請求がなされた場合には,自動的に期間が延長されます。

公開買付けの撤回

公開買付けの撤回は自由に行うことができず,金融商品取引法に定められた事由がなければ撤回することができません(金商品取引法27条の11第1項)。

法定の撤回事由には,公開買付開始公告及び公開買付届出書に撤回をする条件(特段条件)を記載していた場合に撤回事由となるものと,特段条件として明記していなくとも撤回事由となるものがあります。

公開買付者が公開買付の撤回を行うときは,公開買付期間の末日までに,当該公開買付けの撤回を行うこと,その理由等を公告し(金商品取引法27条の11第1項),その日のうちに撤回等の理由,有価証券等の返還方法等(公開買付府令27条)を記載した公開買付撤回届出書を提出しなければなりません。
決定事項
対象者またはその子会社(会社法第2条第3号に規定する子会社)の業務執行を決定する機関が次に掲げる事項を行うことについての決定をしたことを撤回の条件にした場合,対象会社またはその子会社がかかる決定を行った場合,撤回することができます。 ただし,子会社については,純資産ベースで対象会社の10%未満等の場合には撤回することができません(軽微基準)。
  1. 公開買付府令26条1項
  2. 株式交換
  3. 株式移転
  4. 会社の分割
  5. 合併
  6. 解散(合併による解散を除く。)
  7. 破産手続開始,再生手続開始または更生手続開始の申立て
  8. 資本金の額の減少
  9. 事業の全部または一部の譲渡,譲受け,休止または廃止
  10. 金融商品取引所に対する株券等の上場の廃止に係る申請
  11. 認可金融商品取引業協会に対する株券等の登録の取消しに係る申請
  12. 預金保険法第74条第5項の規定による申出
  13. 株式または投資口の分割
  14. 株式または新株予約権の割当て(新たに払込みをさせないで行うものに限る。)
  15. 株式,新株予約権,新株予約権付社債または投資口の発行(?および?以外)
  16. 自己株式(会社法第113条第4項に規定する自己株式をいう。)の処分(?以外)
  17. 既に発行されている株式について,会社法第108条第1項第8号または第9号に掲げる事項について異なる定めをすること
  18. 重要な財産の処分または譲渡
  19. 多額の借財
  20. 1から18までに掲げる事項に準ずる事項で公開買付者が公開買付開始公告および公開買付届出書において指定したもの
公開買付府令26条2項 ? 公開買付開始公告日に,対象者の業務執行を決定する機関が当該公開買付けの後に当該公開買付者の株券等所有割合を内閣府令で定める割合以上減少させることとなる新株の発行その他の行為(当該公開買付けに係る買付け等の期間の末日後に行うものに限る。)を行うことがある旨の決定を既に行っており,かつ,当該決定の内容を公表している場合 当該決定を維持する旨の決定 ? 公開買付開始公告をした日において,対象者またはその子会社が会社法第108条第1項第8号または第9号に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる二以上の種類の株式に係る株券等を発行している場合 当該異なる定めを変更しない旨の決定
発生事実
対象者に次に掲げる事実が発生した場合(公開買付開始公告を行った日以後に発生した場合に限る。)には,撤回の条件としたか否かを問わず撤回することができます(施行令14条1項3号)。 ただし,1,3,5及び7については,公開買付者およびその特別関係者によって行われた場合は除きます。また,1から9に準ずる事実で公開買付者が公開買付開始公告および公開買付届出書において指定したものについても撤回事由となります。
  1. 事業の差止めその他これに準ずる処分を求める仮処分命令の申立てがなされたこと
  2. 免許の取消し,事業の停止その他これらに準ずる行政庁による法令に基づく処分がなされたこと
  3. 当該対象者以外の者による破産手続開始,再生手続開始,更生手続開始または企業担保権の実行の申立てまたは通告がなされたこと
  4. 手形もしくは小切手の不渡り(支払資金の不足を事由とするものに限る。)または手形交換所による取引停止処分があったこと
  5. 主要取引先(前事業年度における売上高または仕入高が売上高の総額または仕入高の総額の百分の十以上である取引先をいう。)から取引の停止を受けたこと。
  6. 災害に起因する損害
  7. 財産権上の請求に係る訴えが提起されたこと
  8. 株券の上場の廃止(当該株券を上場しているすべての金融商品取引所において上場が廃止された場合に限る。)
  9. 株券の登録の取消し(当該株券を登録しているすべての認可金融商品取引業協会において登録が取り消された場合(当該株券が上場されたことによる場合を除く。)に限る。)
行政庁の許認可が得られなかった場合
株券等の取得につき他の法令に基づく行政庁の許可,認可,承認その他これらに類するものを必要とする場合において,公開買付期間の末日の前日までに,当該許可等を得られなかったこと(施行令14条1項4号)
内閣府令で定めるもの
公開買付けの後において公開買付者及びその特別関係者が株主総会において議決権を行使することができる事項を変更させることとなる株式の交付その他の行為(当該公開買付けに係る買付け等の期間の末日後に行うものに限る)を行うことがある旨の決定を対象者の業務執行を決定する機関が行っており,かつ,当該決定の内容を公表している場合であって,当該機関が当該決定を維持する旨の決定(公開買付開始公告を行った日以降に公表されたものに限る)をした場合(施行令14条1項5号)。
公開買付者側の事由
公開買付者に,次に定める事由が発生した場合には,条件に明記していなくとも撤回することができます。
  1. 死亡
  2. 後見開始の審判を受けたこと
  3. 解散
  4. 破産手続開始の決定,再生手続開始の決定又は厚生手続開始の決定を受けたこと
  5. 当該公開買付者及びその特別関係者以外の者による破産手続開始,再生手続開始,更正手続会社又は企業担保権の実行の申立又は通告がなされたこと
  6. 不渡り等があったこと